2023年9月3日日曜日

曖昧なことを言っていても仕方ない、翻訳者の生き残り策は何なのか

ここ数日、ある件で調べものをしていて(察しの良い方、そうです、あの件です)「AI(スペース)翻訳」でネット検索すると、AI時代の翻訳者の生き残り、とかAI翻訳が普及したら翻訳業はどうなるのか、という記事が大量にヒットしました。

それだけこの業界の未来について心配している人、もしくは「もうお金をたくさん払わなくても機械が翻訳をやってくれる」ことを期待している人が世の中に多いのだなと改めて思いました。

もうすでにこの手の記事はたくさんあるので私が改めて書くまでもないかと思いますが、本当のところどうなのか、これから私たち翻訳者はどういう道で食べていけるのでしょう。曖昧なことを言っていても仕方がないので、実際のところどうなのか、私のこれまでの経験から実感として予測できる今後の生き残り策を書いてみたいと思います。大きく分けると以下の三つあたりが妥当なのではないでしょうか。

①機械翻訳を味方につけ、大量に市場ニーズのある「牛丼案件(早い、安い、うまいを求められる案件)」を大量にさばいて薄利多売の選択肢を取る(日本の翻訳会社にとっての理想モデル

②機械翻訳が適用できない、もしくは適用が難しい分野で勝負する

 ・書籍、字幕などの文章力や独特の感性が求められる分野

 ・またはマーケティングやニッチ分野など、実務分野で同じく磨き上げられた日本語の文章力を要する領域

 ・法律関係、論文など、複雑な構文や難解な内容を含むため読み取りが難しく機械が正しく訳出できない分野

③リンギストとしてではなく、内容の専門家(プロフェッショナル)として、機械翻訳が翻訳した内容のLQA(言語品質保証)担当として活動する

 ・医療関係、特許など

最後まで残るのはおそらく③だと思いますが(どこまで行っても機械翻訳の出力に対しては人間の最終点検が必要なので)、②もまだ機械に完全に追いつかれるまでに10年から20年程度はかかるのではないかと思っています。ちなみに私は②で逃げ切れるところまで逃げ切るつもりです。

 これ以外には、バイリンガルライター、バイリンガルコピーライターなど、ライター領域が考えられますが、早めに参入しないといずれ飽和状態になる可能性もあるでしょう。

 その他にはいっそのこと機械翻訳の開発者と一緒に機械翻訳の精度向上のための仕事をするという手もあるかもしれません。そちらに行く人も一定数いるでしょう。

 どれが有望が、今の段階では分かりません。どれもなくなっているかもしれません。

 いずれにしても自分でやりたい道を選び、自分で腹をくくるしかないと思います。ある程度は自分が楽しんでやれる領域でないと、しんどい時に乗り切れない、ということだけは確かだと思います。

 いっそのこと全然違う分野で働いてみたい気持ちもありますよ。

 私の場合はもう年齢的にどこかに雇われの身で働くのは無理でしょうから、あれとかあれとか、やってみたい仕事はいくつかあります。

 子どもが幼稚園の時のバザーでPTAの役員としてクレープを数百枚焼いたことがあるので、クレープを焼くという特技があります。今度クレープの焼き方についてどこかでお伝えしますね~。いつかまたどこかで。