2024年4月3日水曜日

意味が分かればいいからと人は言うけれど

 意味が分かればいいから、と人はよく言いますが、意味が分かる訳文を作るのって実は結構大変なんです。私がなぜ「『意味が分かる訳文』を意識しています」などとわざわざプロフィール文に入れているかというと、意味が分からない訳文というのは実は数多く存在するからです。

英語という、日本語とは全く異なる言語体系で表現された概念を理解し、意味が分かる日本語で書き直す作業がいかに難しいのかは、普段意味の分かる訳文をあたりまえに納品してくれる翻訳者と付き合いのあるクライアントには理解し難いかもしれません。 しかし「英語のニュアンスをしっかりと汲み取る」という工程を経ないで字面だけ日本語にすると、実に意味の分からない訳文が出来上がります。なかなか想像しづらいとは思いますが、これが本当にさっぱり理解できない日本語なのです。 こうした翻訳結果(世に言うDeepLをちょっと直しただけのやつ)をレビュアーが修正するのは実に困難な作業なのですよ。だからレビューの仕事のオファーはみんな警戒するし、低い報酬では引き受けたがらないのです。 ですから「意味が分かる訳文」というのは、世の中に大量にあふれるさまざまな品質の翻訳の中で見れば、それだけでそれなりに質の高い訳文ということになります。そうでない訳文を大量に見るまで気付かない事実だとは思いますが。

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